アメリカ先住民文化・ホピを訪ねて

さて、ここまでお読みいただいた方ならば、ホピの村を訪ねても、観光地化されたものは無く、辺鄙な地味〜な場所って事が、想像つくことでしょう。(^-^)当然、交通手段も、車が無ければいけない場所。
おまけに、ホピ族の居住区内では、写真撮影、録音、ビデオカメラ、そしてスケッチさえも許されていない。ワルピという村では電気さえ通っていない。・・・つまり、心の中にしっかりと景色を焼きつけ、肌で感じる以外ないのだ。
別の言い方をすれば、ここは、全く観光ビジネスの匂いを感じることなく、何の脚色も無く、ありのままの古代文化を垣間見ることができる場所と言えるだろう。

ホピメサ内でモーテルは1つだけあるが、もし居留地内で宿泊しない場合は、70マイル程先のWinslow(ウィンスロー)に泊まるか、Flagstaff(フラグスタッフ)から行くことをお勧めする。
(WinslowやFlugstaffは、ルート66のところでも紹介した、40番と呼ばれる道路沿いにある、おなじみの場所ですね。)
参考までに↓
ルート66の旅 アリゾナ編

ちなみに、ホピ居留地内に宿泊した場合、飲酒は禁じられているのでご注意!

ホピ族の村の大部分は3つのメサに分かれている。(メサ (Mesa) とは、侵食によって形成されたテーブル状の台地のこと)それぞれが約10マイル程離れていて、場所的には近いが、それぞれ異なった歴史と管理機関を持っているのが特徴。

ホピが現在暮らしている地域は、好戦的なナバホから土地を略奪されたりしたこともあって、非常に痩せた土地に集中している。
主にファーストメサ、セカンドメサ、サードメサとよばれる急な断崖に立つ3つのメサを中心に、ホテビラ、オライビ、ションゴポビ、ワルピなどの集落に約12,000人が暮らしている。
ホピの住む村は、非常に乾燥している不毛な土地で、満足に収穫できる作物といえばトウモロコシ程度。
しかし、トウモロコシといっても、日本のものとは違うのだ。赤・黄・白・黒などの色があり、これは生活の糧であると同時に常用なスピリチュアル的な意味を持つ。ホピの世界観では、という数字は大きな意味を持つ。 この4色のとうもろこしも、地球上の4つの人種の色を現しているのだそうだ。

Secound Mesa(セカンドメサ)

まず最初にセカンドメサにあるホピ・カルチャーセンターに立ち寄ることをお勧めする。ここではホピ族の伝統が学べ、また、他のメサの行事についての案内が張り出されていたりするので、それを閲覧することができる。


セカンドメサからの眺め
セカンドメサへ向かう風景

ホピ・カルチャーセンターのWeb

ここのカルチャーセンターはAZ-264沿いにあり、すぐにわかる。コンクリート造りの立派な建物で、内部ではホピの得意とする伝統工芸品である銀細工やカチナドール、昔の村の様子を撮影した写真集などが販売されている。
そして奥には、ホピの伝統料理を出すレストランが併設されているし、また宿泊することも出来る。
従業員はもちろん、ホピ族の人々。
フライブレッドにたくさんの野菜やチーズをのせたホピ・タコや、ラムと豆のシチュー、薄切り牛肉の煮込みをフライブレッドにかけたものなど、ホピの料理は、素朴な味わいがあって、それなりに美味しい。

また、伝統的なホピ・ビレッジを訪れるツアーも、ここから出ている。特に、Walpi(ワルピ)の村へは、ツアーを通さないと独自では、行けない。

ホピのリザベーションは、自力で観光しても、十分知識を持って望まない限り、ナバホのリザベーションと比べると、ほとんど楽しめないところでもある。つまり、それだけ、観光目的に作られてないのだ。
そのため、個人でガイドを雇うか、せめてホピのツアーに参加して、十分に説明を聞くことをお勧めする。

これは、Corn Rocks(コーンロック)と呼ばれるもの。↑大自然の驚異が作り上げたものであり、ホピの言い伝えでは、コーンロックは何があっても崩れない岩なのだそうだ。この岩が崩れ落ちるときは、世界の終わりを意味するという。

First Mesa(ファーストメサ)
次に、ファーストメサにある、Warupi(ワルピ)の村をお訪れてみよう。
サンドストーンでできた古い家々、くねくねと続く道、それを取り囲む荒涼とした絶景が、そこにある。
紀元900年にファーストメサの横に作られたワルピの町は、1680年に起きたスペイン人に対抗するプエブロの反乱後に防御のために、丘の上に移り住んだという。

これは、ホピの神話を現した岩絵↓この意味するところは、いったい何か・・?

Therd Mesa(サードメサ)
1100年前後に創設されたオールドオライビは継続的に居住されている町としては全米で最も古いと言われている。
スパニッシュ・ミッションの廃墟や近代風の家と交わる古代の家々を見ることができる。
サードメサにある他の全ての町はオールドオライビから派生しており、それらにはホテビラ、バカビ、キコツモビなどの町がある。
ホテビラは1906年に起きた一族の分裂の後に形成され、バカビは1907年にホテビラから分派したものであり、ふもとにあるキコツモビは、ホピ族の部族政府の本拠地となっている。

Blue Canyon(ブルーキャニオン)

ここは、ホピのリザベーションの中にある、ブルーキャニオンと呼ばれる場所。北西に位置し、最寄の町は、Tuba City( チューバシティ)という160番上にある町から、27マイルの位置にある。
しかし、ここは、なかなか簡単には行かれない場所でもある。オフロードであるだけでなく、数時間ここに滞在するには、ホピ族の許可が必要になる。

PERMIT INFORMATION: (許可書のためのインフォメーション)
Clayton Honyumptewa (Office of Hopi Lands)
928-734-3645 (personal cell)
または、Hopi Tribe :928-734-2441


それにしても、ここの景色について・・いったいどんな表現をしたらいいのだろう。。。
まるで、天空に浮かぶ城?


きのこの城?

カチーナダンス

せっかくホピの村に訪れたならば、有名なカチーナダンスは、ぜひ目にしてみたい!しかし、なかなか見ることが出来ないのも現状。つまり、これは、観光客へのエンターテイメントとして行っている行事ではなく、れっきとした宗教的セレモニーであり、神聖な儀式として執り行っているからだ。ダンスでありながら、神事なのだ。

ホピ族は12月から7月の間の大抵は週末に、このカチーナダンスを行うようだが、地元の人々でさえも具体的な日程は1〜2日前くらいまでわからないとの事だ。運良く、滞在中にカチーナダンスが行われる日がわかり、また、事前に立会いの許可をとることが出来れば、見学できるだろう。
ホピ族は、女系社会で、グランドマザーを長としている。もしも、特別な配慮にて許可された場合は、グランドマザーにお礼に行くことが望ましい、との事。

また、ホピには、有名なスネークダンスというものがある。もちろん、写真やビデオ撮影禁止なので、どんなものかはわからないのだが・・それを見た多くの人に絶賛されていたダンスだった。しかし、一部の観光客によって、神聖な儀式を冒涜するような行為があったために、スネークダンスの一般公開は、今は禁止になってしまったそうだ。
また、他のカチーナダンスにおいても、すべて自由に見ることが出来ず、かなり制限されている事も確かだ。

しかしながら、今まで、ホピのカチーナダンスを見た人々は、ほとんどの人が絶賛している。 「単純な豊作を祈る踊りかと思っていたのに、これは、全く違う・・神の存在を身近に感じ、涙が溢れてくる。」
「もう、言葉では表せない。自分の魂を感動させてしまうのだ。」・・・というコメントが多くある。
精霊カチーナが、彼らに伝えた踊りとは・・いったい、どんなものなのだろうか?

カチーナドール
前述したように、カチーナドールとは、もともとは、おじいちゃんが孫に、自然に宿る精霊を教えるために作ったものと言われている。
月、太陽、雪、コヨーテ、イーグル、蛇・・・森羅万象に精霊が宿ると信じ、そして常に自然の恵みに感謝を忘れないホピの人々には、数え切れないほど多くの種類のカチーナがある。 最近では、おみやげ物の域を超えて、素晴らしいアートとしての価値が認められている作品も多数存在している。

オーバーレイのアクセサリー
オーバーレイとは、ホピの人々が作る、アクセサリー技法のこと。 1930年頃にホピ族のローレンス・スフキーの父親ポール・スフキーが発案し完成させたそうだ。 2枚のシルバー・プレートを重ねて、上のシートにデザインを描いてジュエリー用ののこぎりで切り抜き、下のシートに刻み目(テクスチャー)と呼ばれる模様を彫り、そして酸化させることで模様が黒く浮き上がるようになる。後に、ホピ族以外にナバホ族のアーティストたちも使用するようになり、今では、多くの名だたるアーティス作品がある。

1つ1つのデザインにも意味があり、例えば、一番左の画像は、メイズ(左)とココペリ(右)を現している。
メイズとは、「人の人生を迷路で表現し、「生命のサイクル」や「永遠の流れ」、また人間が常に直面する人生の選択を意味する。」のだそうだ。
ココペリは、笛を吹く子供のような妖精で、豊穣と実りの精霊、幸運を運ぶ精霊」とされていて、最近では、ホピ族のみならず、先住民といえば、すべてにココペリが使われていたりする。
とにかく、一番、一般的にも知られたモチーフとなっているのは確かなようだ。

詳しくはこちらを→ホピのモチーフ

1つ1つが手作りであり、また、スターリングシルバーを用いて根気のいる作業になるため、有名アーティストの作品ともなれば、なかなか高価なものも多いが、たしかに、この世に2つと無い逸品だろう。

<後記>
ホピ村を訪ねてみた人ならば、豊かで華やかな街にはほど遠いことが、よくわかることだろう。
今では、多くの先住民たちが、起死回生をかけて、カジノ経営やホテル、観光産業などの事業を行う中で、ホピの人々は、今なお伝統を守り儀式を続け、ホピ村を観光地化することも無い。生活するには収入は必須、なれど、一定以上を望んで、物質面での豊かさをさらに望んでいけば、彼らのアイデンティティーは、カチーナの精霊と共に消えてしまうのだろう。
そして、二度と戻らないことを、彼らは、十分知っているのだろう。

ここにあるものは、物質文明を超えたスピリチュアリズムであり、それを望む人のみが堪能できる場所のようだ。

ホピ文化に興味がある方は、グランドキャニオン2のウォッチタワーもどうぞ。

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