それほど知られてないアメリカ

アメリカ西海岸といえば、都市ならばロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガス。ハリウッドで買い物、ムービースターの豪邸、ディズニーランドに、スポーツ観戦、アウトレットの買い物、グランドキャニオンにヨセミテ・・せいぜい、そのくらいの認識じゃなかろうか? 食べるものは、ハンバーガーやホットドック、まあ、ちょっと、しゃれたレストランに行けば、決まりきったステーキにプライムリブってとこか・・。

旅行のガイドブックを見れば、どれも同じようなもんで、また、日本人旅行者(駐在員ですら)は、ほどんど同じようなところに群れをなす。うんざりするばかり・・。これで、アメリカを知ったことになるはずも無い・・。

これは、旅行会社やガイドブックが、いかにも日本人が好むであろう部分、旅行者がアメリカに期待する部分 を「これがアメリカだ!」と、提供するのだから仕方がないのだ。
つまり、現状は、顧客を喜ばせることに力を入れすぎて、求められているイメージ(ガイドや会社側が考える、顧客が求めるイメージ)に、当てはまるようにツアーを構成しているということだ。
それは、手っ取り早いビジネスに繋がることにもなるので、企業側にとっても、もちろん、当然なのかもしれない。

しかし、そんなコマーシャルベース目的の旅企画を続けていては、利用者にとっても、提供する旅行会社やガイドにとっても、いつしか行きづまる。すでに限界が見えてきいたような気がしてならない。

利用者にとって重要なことは、トップページでも述べたように、「新しい地を訪ね、異なった文化や生活様式に触れることを通して、視界を広げ、他人事と思っていた問題にさえ、興味を持つようになっていく」ということが大切なのじゃないだろうか。

また、旅を提供する側は、ありのままの現実をツアー参加者に伝えることが一番大切なことであり、「新しい世界に触れるチャンスを提供する企画」こそが必要だろう。
真実の中には、楽しいことや面白い部分だけでなく、時には、ネガティブな部分も当然含まれていることだろう。しかし、それが、真に「体験すること、新しくを知ること、何かを学ぶこと」に、繋がることでもあり、それを手助けするのが、旅を提供する側の勤めでもあるように思う。

エコツーリズム

エコツーリズムという言葉をご存知だろうか?
エコ、エコロジーというのは、最近では頻繁に用いられるため「自然環境に触れる旅行」などと、単純に解釈してる人も多いかもしれない。
しかし、本当のエコツーリズムとは、ちょっと違うところにある。

多くの人々が、広い世界に、旅をするようになればなるほど、もちろん、人々の認識は広がり、前述したように、視野も広がり、旅行者の生き方においてプラスとなることも多いだろう。しかし、一方で、世界の観光産業が、自然環境や地域住民の生活環境に、大きな悪影響を及ぼしてきたことも否定できない事実なのだ。

簡単に、わかりやすい例をあげるならば・・ある地域に旅行者が増えれば、そこの地には、多くのお金を落としてくれることにもなるだろう。しかし、心無い観光客によって、多量のゴミを捨てられたり、または、車が増えれば、排気ガスをばらまくことにもなる、ということだ。そのうち、その地域は、生活環境も人もどんどん変わっていくことになる。

そこで、世界中の人々が望む「旅」の魅力や可能性を生かしつつ、同時に環境とコミュニティーを守ること。その両方に重点をおいて、持続可能な形で観光を推進するために生まれたのが、「エコツーリズム」というわけだ。

国際エコツーリズム協会というものがあり・・そこのエコツーリズムの定義は、「自然保護と地域住民の生活の向上に貢献する、責任のある観光」であり、次の6つをエコツーリズムの原則としている。

1.自然環境や地元の文化・生活に対する影響を最小限に抑える。
2.環境と文化に関する理解を深め、地元の生活を尊重する。
3.環境保全のために、直接経済的な利益をもたらす。
4.地元の人々に、経済的な利益と権利を主張する力をもたらす。
5.旅先の国の政治、環境、そして社会的な情勢に対する敏感さを育てる。

アメリカでは、このようなエコツーリズムに、先住民の文化を取り入れて紹介し、居留区の生活向上に貢献している例として、北米を始め世界的にも有名なツアー会社Go Native America(ゴー・ネイティブ・アメリカ)というものがある。

ここは、ネイティブアメリカの世界、アメリカインディアンの文化紹介を中心にしたツアー会社でもある。
Go Native America

Go Native America(ゴー・ネイティブ・アメリカ)について

GNA(ゴー・ネイティブ・アメリカ)のミッションは、ネイティブ・アメリカン・コミュニティーの生活、文化、歴史を尊重し、環境に優しく、意義のあるツアー経験を提供することだと述べている。
ガイドはすべて、地元の先住民のみ。ツアー客の宿泊には、部族が管理する地元の宿泊施設を使用。
そして、ネイティブアメリカの真のストーリーを伝えることがGNAのミッションとしている。

下記は、GNAからのメッセージです。↓
歴史的な観点、そして現代の先住民族のありのままの現実に接することで、ツアー参加者は、普段の生活ではできない体験を得るのです。彼らは、「観光客」ではなく「訪問者、ゲスト」としてツアーに参加し、先住民と非先住民の関係をよりよいものにする努力の一部となります。

また、GNAでは、「フェアトレード」の方法を取り入れ、ツアー参加者が地元コミュニティーに貢献できる方法のひとつとして、部族の伝統的な文化を象徴する手作りの芸術品等を直接購入できる機会を提供している。

フェアトレードというのは、「適正な報酬での取引」のこと。つまり、買う側も売る側も適切な価格で買ったり、売ったりできるようにすることだ。

たとえば、ネイティブアメリカンのインディアンジュエリーや、陶器、工芸品などは、今では有名でもあり、多くが出回っている。 ところが、有名になればなるほど、工場で大量生産されていたり、「ネイティブ」を偽った偽商品等もいっぱい出回ってるのが現状。(日本でも、偽ブランドなどが問題視されたことあったでしょ!まあ、どこでも、儲けりゃいいや!と考える発想は一緒なんでしょうね。)

しかし、こういった現状は、居留地に住む多くの先住民にとって、大きなダメージを与えることになる。
ある部族にとっては、ネイティブアート製作が、伝統工芸を通しての唯一の経済活動である場合もあり、それはまた、唯一のライフラインであるケースも多い。彼らの死活問題になる場合もあるのだ。 もちろん、観光客側にとっても、偽物を掴まされたんじゃ、たまらない・・。

そこで、GNAは、インディアン芸術・工芸協会 のメンバーとして、ツアー参加者が芸術品を制作した先住民のアーティストと直接会って、作品について学ぶことができる環境を提供し、第三者を挟まない形で真のネイティブ・アートを直接販売することにしているとのこと。
それは、アーティストや地元の経済にとってだけでなく、特別な交流を通してネイティブアメリカの文化に触れることができるゲストにとっても、とても良い影響を与えている。・・と語っている。

また、ここのガイドさん達は、ネイティブアメリカンの人たちであり、自分の部族の紹介する機会も多いことだろう。 今では、観光客の期待に応えようとして、伝統儀式をツアーの一部として観光客に「披露」するところも多いと聞いている。
しかし、GNAは、伝統的な価値を「ショー」として売り物にすることは、コミュニティーの歴史・文化を裏切る行為だと述べている。↓

「どんな理由であれ、儀式が観光活動の一部として宣伝されることが相応しい状況は一切存在しません。 私たちのガイド訓練の一部として、この点は繰り返し強調しています。GNA では、ガイド全員が、彼ら自身とその文化について、ありのままの現実をツアー参加者に伝えることをモットーとしています。」

たしかに、最近は、アメリカの観光ツアーでも、先住民の伝統的な儀式を見せたり、参加させたりするものもあるようだ。 しかも、観光客がより楽しめるように、派手に演出して、ショーと化したものも少なくない。つまりは、やらせってわけだ。 しかし本物を求めてくる観光客は、ショーを見るなら、徹底したエンターテイメントを楽しむべく、ラスベガスに行くだろう!
やらせのショーをみたところで、観光客はがっかりするだけだし、ネイティブアメリカンにとっては、神聖な儀式への冒涜であり、自らのアイデンティィーを喪失させるようなもの・・にしかならないだろう。

そういった点で、GNAのミッションは、このサイトの趣旨と共通するものがあり、特に、ネイティブアメリカンの文化に興味がある方で、専門ツアーを希望する方々には、おすすめ。
ただし、今のところ、日本語ツアーが無いので、英語が理解できない方には、せっかくの説明がわからないという問題がある。
その場合は、現地の日系ツアー会社に頼んで予約をとってもらい、通訳として同行してもらうか、説明書きをもらうか・・という方法も可能かもしれない。

とにかく、ぜひ、本当の姿、ありのままのアメリカの姿を、そのまま受け止めて頂きたいと思う。

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