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アンテロープキャニオン・ナバホ・トライバル・パーク
(Antelope Canyon Navajo Tribal Park)

アリゾナ州のページ(Page)という町の近郊にあり、ナバホ族の土地にある渓谷。アメリカ南西部では、最も写真撮影される場所で、多くの人々が訪れる。それだけ、人々を、神秘に満ちた美しさで魅了してしまう場所なのだ。
ここは、スロット・キャニオンと呼ばれる、幅の狭い渓谷。



アンテロープ・キャニオンは2つの岩層から成り、それぞれを、アッパー・アンテロープ・キャニオンロウワー・アンテロープ・キャニオンと呼ばれている。
1931年、ナバホ族の少女が巨大な大地の割れ目を発見。それが現在、ロアーアンテロープキャニオンと呼ばれている場所で、その後まもなく、アッパーと呼ばれる巨大な山の裂け目を発見したのがはじまり。

◆アンテロープキャニオンの地層
アンテロープ・キャニオンの、この優美で流れるような地層は、周囲の砂岩が侵食され、何百年にも及ぶ時をかけてできあがったものだ。主に、鉄砲水や風成の侵食によって、自然が造り上げたもの。
特にモンスーンの時期に降る雨水は、谷間を流れ、より狭い通路を流れるにつれ水は加速して、砂を拾いあげる。

また、その後長い時間をかけて通路が侵食されると、今度は、狭い通路は広くなり、岩の鋭さはより滑らかにされて、岩の「流れる」ような美しい特徴を形作る。こうして出来上がったのが、アンテロープキャニオンなのだ。

このアンテロープという名前の由来は、動物のアンテロープから来ているらしい。
美しい流線型の模様としなやかな体躯を持つ、アンテロープを連想させたのだろう。いかにも、この地に住むナバホの人々らしいネーミングだ。


◆ナバホの人々
先住民であるナバホ族は、約30万人とも言われていて、現在でも、9割が居留地内で生活している。モニュメントバレーには約300人が暮らしていると言われている。
このオレンジ色の部分が、ナバホ族のリザベーションで、かなりの広範囲であることがわかる。
彼ら、先住民族は、それぞれが、リザベーション(居留地)内で独自の政権、自治を持ち生活している。もちろん、何か問題が起こったときも、リザベーション内の部族の警察にゆだねられることになる。
先住民族たちは、連邦政府から居留地を与えられ、生活のための保障金を貰い、税金はない。そして大学までの学費は無料。カジノ経営権も与えられている。

これだけを聞くと、なんと待遇された人々!と思うかもしれない。
しかし、彼らは、すべて迫害と抹殺の歴史の中で生きてきた人々であり、こういった権利も1つ1つ彼らの手で戦い、勝ち取ってきた結果なのだ。

このような観光産業に着手したのも、彼らがリザベーションに押し込められ、政府の管理下におかれ、貧困状態にあえぐ状態から、脱出するがための、生きる手段だったのだ。
彼らは、まだまだ多くの問題を抱えているし、アメリカの政府とも、法のもとに戦い続けている。

ナバホ族とは、どんな民族なのか?・・・ナバホの土地を訪れるならば、まずは、こちらをご覧ください。
ナバホ族について
右、一番上のメニューバーからも入れます。)

◆アッパーキャニオンとロウアーキャニオン

アッパー・アンテロープ・キャニオンの方が、多くの観光客が訪れる。
それには2つの理由があり、1つは、入り口と全長が地表と同じ位置にあり、岩などを登る必要性が無いためだ。

もう1つは、キャニオン頭頂の開口部から直接放射する太陽光の光線が、ロウワー・アンテロープ・キャニオンよりもアッパー・アンテロープ・キャニオンによく起こるため。
右写真のように、主に昼頃に光が差し込むことが多い。これが、なんとも幻想的な様相をみせ、色もイエローやピンクに変化していく様子が見られるのだ。

アッパーへは、エントランスからキャニオン入口まではナバホ族のドライバーが運転するジープに乗りこみ、サラサラの砂で敷き詰められた大地を約10分移動する。すると前方に山が立ちふさがり、裂け目が視界に飛び込んでくる。



ロウアーに行くためには、エントランスで入園料を支払い、大地の裂け目の入り口までは約2分ほど歩く。 下に降りるはしごがあるので、それを使って降りる。
足元は、モニュメントバレー同様、赤いサラサラの砂、鉄砲水が割れ目から進入し造り上げた大地の模様は、自然のアートそのものだ。

ただし、アッパでも、ロウアーでも、曇り空の日や、晴れていても太陽が傾いている時は、内部は真っ暗。
また、前日に雨が降ったときは大量の水が溜まるので翌日晴れていても閉鎖になることが多い。上流で小雨が降っただけでも閉鎖になる。非常に天気に左右されるのも事実。
大自然だけがなせる最高の芸術を見るのは、運を天に任せる以外無いということだ。

事実、1997年のこと、約10km離れた上流で降った雨が、狭い渓谷内で鉄砲水(Flash Floods)となり進入し、中にいた観光客11名が逃げ場を失い溺れ亡くなるという事故があった。それから、雨がポツリと降り始めただけでロアーアンテロープキャニオンは閉鎖される。それだけ、自然の驚異は、神々しい美しさと共に恐ろしさも秘めている。

アッパーとロウアーの違いについては、冒険心をくすぐるのは、断然ロウアーの方という声が多い。狭い通路を行ったり、何回もはしごを降りたり、岩肌や内部も多くの変化に富んでいる。しかし、アッパーの方が断然、ラクは出来る。
また、アッパーでは、ガイドさんが至れり尽くせり! 砂を置いてくれて流れるようにしてくれて、「ハイ!撮影してください!」とまで・・サービス満点だそうだ。

しかし、ロウアーでは、野放し状態!・・・・どちらが好みからは、本人次第。
写真を目的として訪れる人は、圧倒的にロウアーに行くようだ。
右のサイドバーに、体験者のブログ記事を載せてあるので、参考にどうぞ!




◆ホースシューベンド(Horseshoe Bend)

ページの町付近にある、コロラド川が蹄鉄(horseshoe)の形に蛇行している場所の名前。グレンキャニオンダムとパウエル湖から少し下流、ページの南約6キロメートルに位置している。国道89号線から1.2キロメートル歩くとたどり着ける。
つまり、10分くらいで行ける距離にある。



コロラド川が大きく蛇行し、そのカーブの外側が鋭く浸食されほぼ垂直に切り立つ断崖絶壁が形成されている。

ここへ行くには駐車場から砂漠の中を約15分ほど歩かなければならないが、ここは、柵もなければ何も無い。
自由に崖っぷちまで行ける。
インディアン居住区でも国立公園でもないので、入場料も何もなし。

時間帯は、午前中がベスト。
西方向を向いて見る景色のため、午後からは逆光となり、ほとんどすべての景観が暗く見えてしまうので、写真撮影には適さないことになってしまう。


ホースシューベンドも、グランドキャニオンに繋がり、そして、アンテロープキャニオンの洞窟もまた、すべてが1つに繋がっている。
この景色のすべてが、アメリカの大自然の中の一部であり、そこには境目などもなく、太古からの時間の流れと共に、我々は、それぞれの景色の繋がった断片を見ているに過ぎない・・・ふと、そんな事が頭をよぎる。

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