セコイア国立公園(Sequoia National Park)

◆木々の織りなす不思議な世界

セコイア国立公園というのは、木で有名な場所なのだ。それも、古くてどでかい木で有名。しかもそれは、月並みな「古い」「大きい」「どでかい」などという表現では、当てはまらないくらいだ。木々の国ワンダーランドに踏み入れてしまったかのようだ。
高さ80m、樹齢2000年〜4000年という巨木があり、それも、たった一本ではなく、推定年齢1000年を超えるような巨木が、ずらずらと立ち並んでいる。古い大きな木には精霊が宿る、と言われているが・・まるで、それを納得させてしまうかのようだ。
(注:セコイアというのは、スギ科セコイア属の常緑針葉樹)



これだけ大きな木ともなれば、人が通れるほどの大きな穴が幹に空いてたり、洞窟のような内部を歩き回ったり、車で通り抜けたりできるのだ。
事実、最初の入植者、ヘイル・サープ (Hale Tharp)は、ジャイアント・フォレストにあるジャイアント・セコイアの倒木をくり抜いて小屋(ログハウス)を作っている。
入植者が来る以前は、原住民や動物たちによって、木の中は住みかや避難所として使われていたのかもしれない。

この国立公園の広さは、1,635 km2(404,051 エーカー)。さらに、13,000 フィート(3,962.4 m)近くの高低差を持ち、アメリカ本土で最も標高が高い場所、海抜4,421.1 m(14,505 フィート)のホイットニー山がある。そう、そこはシエラネバダ山脈へと続いているのだ。


この正面に見える山が、Mt.Whiteney(ホイットニー山)
さらに、キングズ・キャニオン国立公園にも隣接している。2つの国立公園として分けてはいるものの、合わせてセコイア・キングスキャニオン国立公園とも呼ばれ、その一帯の広さは、想像を絶するものがある。
公園の大部分は、道路のない原野。公園内でシエラ・ネバダ山脈を横切る道は1本もない。公園の84%以上が、自然保護地域に指定されており、徒歩又は馬でのみしか入れない、まさにネイチャーワールドがそこにある。

◆シャーマン将軍の木(General Sherman Tree)
ジャイアント・フォレスト (Giant Forest) と呼ばれる セコイアの木の森にあるのが、この有名な大木。
現存する地上最大の生物と言われ、幹の体積1487立方メートル、樹齢2300〜2700高さ84.8m、発見者ジェームス・ウォルバートンが、南北戦争のウィリアム・チカムシ・シャーマン(William Tecumseh Sherman)将軍に敬意を表し名づけたのだそうだ。

(この木の全体の写真を見る場合は、右側から「シャーマン将軍の木全容写真」のページへ飛んでください。)

ちなみに、世界一の最長樹齢と言われているのは、ブリッスルコーンパイン(参考:右側から参考ページへ飛べます。)、樹齢4000年以上と言われている。
しかしながら、樹齢はあくまでも、「推定」でしかなく、あの日本の誇る「屋久杉」でさえ、以前は樹齢7000年と聞いていたが、現在の調査によると4000年程度のようだ。
たかだか平均寿命80年程度の人間が、最先端の技術を用いて調べたところで・・数千才の木々に対しては、それが限界の答えかもしれない(笑)
とにかく、地球上全生物の中で一番長い時間を生き抜いているのは、こういった「木」であり、そして今もなお、彼らは、地球の歴史と共に、悠久の時を刻み続けているのだ。

◆グラント将軍の木(General Sherman Tree)

公園内東側、グラント・グローブと呼ばれるエリアは、大きなセコイアが密集している。
左が、グランド将軍の木。
(根元周31.3m、根元最大直径11.1m、樹高83.8m、地上18m、幹直径、5.3m、体積1486.6立方m、推定樹齢2000〜2700年。)
この木は、またナショナル・クリスマスツリーとしても認定されている。
(ただし、クリスマスツリーといっても、電光色豊かにクリスマス用の飾りつけする木という意味ではないのでお間違いなく。国家認定の聖なる木という意味)

この近くには、倒れた木の中を歩けるセコイアや、30分程で歩けるトレイル、レストラン、ギフトショップなどがある。
トレイルを歩きながら、木の内部にも入ってみよう。そこは、どんな世界だろうか?

または、クレッシェントメドウ(Crescent Meadow)と名づけれれているトレイルを歩くのも楽しい。ちょうど1周で1マイル(1.6キロ)の距離。やはり大木の内部に入ったり、倒れた大木の橋を渡ったり、Tharp's Log(サープさんのログハウス)を見ることもできる。
*前述した、最初の入植者でここの木を使ってログハウスを建てた人
さらに、さまざまな動物たちと出会うかもしれない。

◆ジャイアント・セコイアと自然災害の関係
多くのジャイアント・セコイアの木々をみてもわかるように、ぽっかり穴が開いていたり、裂け目が出来ていたり、樹皮が黒こげになっていたり・・こういったダメージの跡は、定期的に起こる、雷や山火事を物語っている。
それでも、多くの木々が、なぜ、これほどまでに長生きなのだろうか?
その理由は「樹皮が厚く火災には強い」という理由にある。同時に、内部は非常にやわらかく、建築用の木材には、不向き。もしも、火災に強く、建築にも向いていたら、おそらく、ほとんど人間の手によって伐採されてしまったことだろう。
事実、19世紀後半には、乱伐され、数千本の木が切り倒されたのだが、建材にならないことが判明したため、そのまま放置され、そして、国立公園となったのだ。

主な特徴↓

●50cm近くもある厚くて柔らかい樹皮があり、それによって火事から身を守っている。
●根は大きいが極めて浅く、せいぜい2m程度の深さしかない。
●新芽は種子のみから発芽する。

ほとんどの木は、切り株から新芽が出すのに比べ、このセコイアの木は、種子からのみ発芽する。 しかも、種子の入っている球果は、ほとんど、りすのような小動物にかじられてしまう。
発芽のチャンスが与えられるのは、ほんの一部にすぎないのだ。

(右図の巨大まつぼっくりは、シュガーツリーの松ぼっくり。巨大なセコイアの木々の松ぼっくりのサイズは、以外にも普通の大きさなのだそうだ。)

さらに発芽の条件として、山火事による灰が地面に堆積していて、十分な太陽光線とある程度の湿り気が必要。
また、成長し、何千年も生き続けるためには、雪解け地下水の通り道上でなければならない。
そういったもの、すべてをクリアーしたセコイアのみが、数千年を生き続けているそうだ。

10〜30年に一度は必ず山火事が起こる。その自然災害すら、必要不可欠ということらしい。
自然界には、ひとつとして無駄なものは無いということだ。


セコイアの歴史的背景◆
この地域に入植者が入る前は、ウエスタン・モノ(Western Mono)(または、モナケ (Monache) と呼ばれる。)インディアンが住んでいたようだ。
主にフットヒル (Foothill)地域のカウェア川流域に住んでいたが、夏になると、東部側の人々と交易を行うため、峠を越えて移動をしていたようだ。

彼らは、主にどんぐりを主食としていたようで、どんぐりを加工するすり鉢や、当時の事を記した絵文字が公園内でも発見される。特に、ホスピタル・ロック (Hospital Rock)ポットウィシャ (Potwisha) でみつけることができる。
ゴールドラッシュの時代を向かえ、入植者が入り込ぬようになると、同時期に天然痘が広がり当時住んでいた先住民族の人口は大幅に激減してしまった。 

最初に入植してきた、ヘイル・サープは、セコイアの倒木をくり抜いて作ったログハウスに住み、先住民達とも交流を持ち、深くこの地を愛したようだ。
彼は、森林の伐採を、強く反対したが、1800年代後半になると、ジャイアント・セコイアの木1本で、何十軒もの家が建つと知られるようになると、何千本もの木が伐採されてしまった。
しかし、やげて、ジャイアント・セコイアは、中はやわらかく、簡単に裂けてしまう事がわかると、ようやく、木材として適さない事がわかり、伐採はやめられることになった。

セコイアの洞窟◆

公園内には240以上の洞窟があり、さらに、まだ見つかっていない洞窟も、数百はあるだろうと予測されている。
カリフォルニア州で、最長の洞窟、リルバーン洞窟(長さ32キロ)も、ここにある。
しかし、観光が許されているのはクリスタル・ケーブの一箇所のみ。長さ5.5km。洞内の気温は9。Cと一定してる。

洞窟群は、シエラネバダ山脈地帯の他の洞窟と同じく、ほとんどが大理石(結晶質石灰岩)中にできた溶食洞だ。
大理石は、およそ5千万〜1千万年前に地下深くに貫入したシエラネバダ底盤(広域な花崗岩の大貫入岩体)の熱と圧力によって変成した石灰岩からなっている。

シエラ・ネバダ山脈にある洞窟は、季節的に豊かに流れる川によって侵食されたものであり、大きな洞窟内にはたいてい地下川がみられたり、かつてはそこを地下川が流れていた痕跡が見られる。

今も毎年洞窟が発見され続け、2003年以降だけで17の洞窟が発見されたそうだ。
残念ながら、一般客は入れないが、科学者や洞窟探検家からは、その美しさや多様性、固有の洞穴生物について高い評価与えられているという。

数千年の年月を生き続けている巨大な木々、地下には大理石の洞窟郡、シエラネバダ山脈、そして、その豊かな水脈、 ここは、私たちの知らない地球の姿を見るようだ。

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