幽霊の住む町・ジェローム(Jerome)

これは、個人ブログからの転写です。

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私と友人のホセで、アリゾナ州のジェロームという町に行った時の話をです。

それは、7月半ば、真っ青に澄み切った快晴の日のことだった。
あまりにもいい日なんで・・外出ついでに、ジェロームいう町まで足を伸ばしてみようか!と、それは、実に軽い思いつきからはじまる。
Jerome(ジェローム)は、有名な「お化けの町」。霊感の無い人だって、ここに滞在すればバンバン見れる!って、アメリカのTV番組でも取材された幽霊スポットなのだ。


「どーせ、やらせに決まってるよ。」
「町起こしのつもりで、幽霊話をくっつけたのかもな。」

別に、幽霊なんぞには全く興味の無い我々・・・しかし、晴れた日の、突然の思いつきの遠出は、気分も盛り上げる。
しかし、ジェロームに近づくにつれて、道はどんどん曲がりくねり視界はきかず、どんどん山を登りはじめた。 いったい、こんなとこに町があるのかよ〜っと、不安になりはじめた頃、突然、景色が開け、町が現れた。



「とりあえず、車を停めて、町を歩いてみようよ。」
「お昼もまだだし、良さそうなレストラン探して、まず食事しようか。」

お化けの町として、それなりに有名なのか、観光客もそぞろ歩いている。それなりに、こじゃれた小さな店が並び、 お土産物屋、ブティック、食べ物屋・・いずれも、間口が小さな店が多く、古いヨーロッパ調の雰囲気が少々漂う町並。

それにしても、よくもまあ、こんな山の上に町があったもんだ。。。
出かけるときは、雲ひとつなかった天気も、ここまで来ると雲が多い。
そして、とにかく、すっごく暑いのだ!!

レストランを探しつつ、ウロウロしてみたものの、なーんとなく、いつものウキウキ気分が出ない。気分がのってこない!
お腹もすいてるのになあ。。。

「小物を売ってる店とかお土産物も見たいだろ?良さそうなところ、勝手に入っていいよ。僕は後をついてくよ。」

「うん、、。。。」

いつもだったら、かたっぱしから店をのぞいて歩く私も、なぜか気分がのらないのだ。
なぜか、わからないが・・・とにかく、気分がのらない。 ほとんどの店の作りは、間口が狭いし閉鎖的な感じがする。それで、なーんとなく入る気分にならないのかもしれない。

町の数か所で「Ghost City Jerome」というサインを目にする・・まさに、これが町の売り文句なんだろう。
メインストリートには、観光客も思った以上に歩いている。そのわりには、それほど活気が感じられない。


Copper Shopとは、銅製品の小物でも扱ってるのか?
こういった、アート系のショップも多い。

「ホセ、お腹がすいてるはずなのに、なんだか、入りたくなるような店がみつからないんだ・・ホセは?」
と・・・、後ろを歩いているホセを振り向くと、
ホセの様子が、めちゃめちゃ悪い!
顔色が悪い。目がうつろ。

「どうした?・・・・どうした、ホセ?大丈夫か?」
「う、うん。き、きてる。いっぱい来てる。・・・。」

ああ!!これは、ちょっと危険信号!以前も、こんな状態のホセを見たことがある。。。
(実は、ホセはかなりの霊能力を持っている。いつでもどこでも、当然のように霊を見ることもできるし会話もできる。頻繁に彼のまわりでは、不思議現象も起こるのだ。)
長年の付き合いから、私も、そんな事は日常茶飯事になっているのだが・・・これは、まずい状態!というのが、すぐにわかった。

おそらく、かなり強力な霊が寄ってきているか、それとも・・かなりの数が寄ってきているか・・・とにかくホセの手にも余る事態が迫っている!

「大丈夫?歩ける?」
「うん・・・だ、大丈夫だ。でも、ひどく頭が痛いし・・冷たい水で顔を洗いたい。」

すぐそばに、アイスクリームとペストリーを売る店があったので、とりあえず、そこに飛び込んだ。

ゴーストの人形の置いてある店で、照明は暗いし、どう見たって、アイスクリームやパイ、ペストリーを売る店のイメージではないのだが・・。(お菓子を売るイメージは、ピンクや白を基調とした、明るいイメージの店が多いものだが・・。)

ホセは、まっしぐらにトイレに駆け込んだ。
そのまま、しばらく出てこない。

その間に、バニラアイスのクッキーサンドを1つ買う。
この暑さと邪気払いには、やっぱり冷たいアイスだろう!! (これに理論的根拠はないが、なんか、そんな気がしただけだ!)
とにかく、ホセにも食べさせよう。

彼は、トイレで顔をバシャバシャ洗ったせいか・・少しは持ち直した様子で出てきた。

「悪いけど・・僕は、もう、これ以上、ここに長居は出来ないよ。この様子じゃあ、夜になったらどうなるか・・わからないから。」

よし!ちゃんとしゃべれる状態に戻ったな!

「うん、わかってるって!すぐに、この町を出よう。」

二人で、冷たいアイスサンドを交互にかじりながら、駐車場に向かう。そして、そそくさと車に乗り込む。

まだ、まっ青な顔をして、びっしり冷や汗をかいてるホセのポケットから、車のキイを取り出そうとすると・・
「いいよ、大丈夫だ。僕が運転する`! 」
「まだ、大丈夫って顔じゃないよ!頭が割れるように痛いって言ってくせに。それに、ひどい汗・・運転は私に任せな!」

「い、嫌だ〜。オマエのの運転は嫌だ〜。あんな荒っぽい運転するヤツの車には、死んでものらない!」
あ、呆れて・・モノが言えん!この、非常事態に及んで・・私の安全運転を拒否するとは・・。(怒)



車を出して(結局、ホセが運転)10分位たったころ、ようやく、ホセの顔色はよくなってきた。
「ねえ、高台のホテル見えただろ?あそこが、なんだか一番ヤバイって気がした。すごく嫌な"気"が渦巻いてた。」

「ああ、なんだか・・古そうなホテルみたいだったね〜。それにしても、まず、何が起こったの?」

「車から降りて、10分も歩かないうちに、いきなり1人の霊が寄って来たんだ。見えてるんだろ!お前、見えてるんだろ、俺たちがわかってるんだろ? って。そして・・あっと言う間に、ぞくぞくやって来た。そうだなあ・・20人以上はいたかな。それが、どんどん増えてきて、それに、行くな〜!行くな〜!って、みんなで引っ張るんだ。すごい力なんだよ!
あんな人数で、引っ張られたら、どんなに自分のパワーをあげて対抗したって、どうにもならないよ。」

「ふーん、そうだったのか〜。で、その幽霊さんたちは、どんなカンジの人たちだった?」

「みんな、すごく薄汚れてるんだ。しかも、今の時代の人たちじゃないよ。100年くらい?は前の時代かな。。。 女性は、皆ロングスカートをはいてるし、男も女も薄汚れていて疲れきっていて・・ああ、犬も一匹付いてきていた。」

「へえ・・ワンコの霊までも・・。みんな、ここまで、追いかけては来ないの?」

「いや、彼らはあそこの場所にいるだけで、車に乗ってジェロームを出たら、誰も追ってはこなかったよ。」

「そうか〜、あの土地に憑いてるんだね。いったい、その時代に何が起こったんだろう?いったい、彼らは、ホセに何を話したかったんだろ?」

「わからない。。何か話したかったのか、僕にして欲しいことがあったのかわからないけど・・とにかく、僕の身が持たない状態だったからね。 決して強い悪意を感じる霊たちじゃなかったけどね。ただ・・あそこの高台のホテルだけは、もっと悪いものを感じた。。。とにかく、僕には、暗くなるまで居られない場所だよ。」

「まだ、冷や汗が流れてるよ。」

運転中のホセの、冷や汗でびっしょりになっている首筋を拭いてやろうと・・彼の首すじを見ると・・・


お、おかしな形の赤い痣が浮かび上がってる。
「ホ、ホセ!く、首に、へんな赤い痣が!こんなもの、もともと無いだろ!」

「え?ああ〜、やられた〜。あいつらに御しるしを付けられたようだ。。。」

「オシルシ?なんで、印(しるし?)を付けられるんだあ?」

「知らない。でも、ときどきあるよ。」

「ええ??じゃ、霊能者の人たちって、そのうち体中、赤い痣だらけになっちゃうものかね?」

「まさか・・人によるんじゃない! 僕は、いつも付けられたところで、1週間くらいで消えるから大丈夫だよ。」
そんなもんか〜???

結局、我々のジェローム滞在は、ほんの30分足らずだったような気がする。
霊感体質の方は、くれぐれもご注意を!(まんざら、お化けの街・ジェロームってのは、ウソじゃなかったようだ。) もしも、親切で、ホセより強い霊能力パワーをお持ちの方ならば、炭鉱にさ迷う人々の話を聞いて癒してあげるのもいいかもしれないが・・・。

ジェローム(Jerome)について

その日の夜戻ってから、ジェロームの町について調べてみた。

かつて、アメリカのゴールドラッシュの頃の時代に、そこは銅山だったようだ。
なるほど、だから、あんな山の上にあって、しかも、ホセの見た人々は、銅山で働く人かその家族だったに違いない・・だから、薄汚れて疲れていたんだ。

そこで、いったい何が起こったんだろう?大きな事故か、別な不幸な出来事か?
彼らは、100年近く経った今も、あの場所に縛りつけられ、そこをさ迷っているしかないんだろう。 (地縛霊だろうな。)
そして、ホセのような霊感体質がやって来るのを待ってるのかもしれない。
何を訴えたかったんだろう? 救って欲しかったんだろうか?

彼らは、100年近く過ぎた今でも、そこにいる。
いったい、いつ自由になれるんだろう?
肉体を亡くして、霊となってしまったら、ただ、待つしかないんだろうか?
なんだか、やるせない気分だ。。。

思い悩み心を縛りつけ、そして自ら縛られる、何かを待ってるだけの幽霊たち。・・・本質的に、生きている人間と何も変わらない気がする。

ホセが言っていた、もっと悪い気の感じる場所は、グランドホテル(Grand Hotel)という古いホテルだった。
ここにサイトがあるので、Grand hotel Jerome 英語だけど、興味のある人は覗いてみて。

Alizona Jeromeについて

下記は本に載っていた説明。↓

ジェロームは、眺めのよい山の中腹にあり、鉱山として栄えていたころの街並みがよく保存されている街。 かつて銅や銀、金が採掘され、当時の人口は最大1万千人もあったらしい。1953年に鉱山閉鎖。

今はホテルとなっている「ベルデ総合病院」跡をはじめ、遠くセドナまで見渡せるビューポイントも少なからずあり、 また時期によっては馬車が街の中を通り、何か懐かしさを感じるものが、このジェロームにはある。


◆どうやら、この「ベルデ総合病院」跡に建てられたのが、「グランドホテル」だったようだ。 ホセが、あそこが一番嫌な気がする。絶対夜まではいられない・・と言った場所。 炭鉱で働く人々が事故や病気で、大量に運び込まれたのがこの病院だったようだ。

やがて、炭鉱が閉鎖されると、ホテルに改築された。 しかし、詳しく調べてみると、このホテルで、泊り客が惨殺される・・という事件が起きている。
「炭鉱、病院跡、ホテル、殺人事件」・・なんだか、条件が出揃った気がする。

とにかく、霊感体質の方は、ここは注意して行かれたし。
「幽霊の町・ジェローム」は、決してウソでは、なかったという事だ。

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