アメリカ旅行の心得編

心得なんて、そんな大層な事を言うつもりはないけど、一番大事なことは、日本の常識を持って歩かないことでしょうかね。
たとえば、アメリカの庶民的なレストランやカフェなどでは、料理の盛り付けは日本に比べりゃ最悪、ウェイターやウェイトレスのテーブルへの置き方も、どん!がしゃ!っと、荒っぽかったりする。(- -;)

ウエイトレスたって、「いらっしゃいませ〜」なんてかわいい声をかけてくれるわけじゃあない。太ったしかめっつらのおばちゃんが出てきて、「何すんのさ?」と聞かれることの方が多い。
もっとも、料理の量だけは、たっぷりあるけどね。(^^)!

日本人の皆さんが、英語教育でならった、Wuould you like〜なんて、丁寧な言葉使いで応対してくれるのは、ハイグレードの場所だけだ。おそらく、飛行機の中でさえ、エコノミークラスならば、いちいちそんな丁重な応対は、してくれないはず。

それは、ホテルでもスーパーマーケット等でも同じ事。 買い物をしても、「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました。」と頭を下げてくれるわけでもないし、レジでも待たされることもしばしば。 おまけに、料金を間違えられることだってあるのだ!

そこで、「こんな事、日本だったら、ありえない!」と、怒ってばかりいたら、ちっとも楽しめないことになる。
へえ〜、こういうものなのか〜、とむしろ、それを面白がって楽しんでしまうくらいの余裕が無いと、旅行はちっとも楽しめない。
また、別の国を「知る」ことも出来なくなってしまうだろう。
知るということは、表面だけの事実を見ることでなく、なぜ、そういった文化なのかを理解するということだ。

たしかに、日本では、高級店でなくても、それなりのサービスが徹底しているし、計算間違いも少ない。
一般庶民の教育レベルの水準が、どこの国よりも高いと聞く。(素晴らしい!)
それに比べると、アメリカの一般庶民は、言葉使いも発音ですら、教育レベルによって異なる。話し方ひとつで、育ち具合がわかってしまうってもんだ。おまけに性格といえば・・大まかと言うか、別の言い方をすれば、「いい加減」とも言えるだろう。
料理にしたって、体裁よりも、旨くて量が多いのが一番という考え方が基本にある。

しかし、日本人と比べてフレンドリーなことは確かだ。
知らない人にでも、気軽に話しかけてくる。
すれ違っただけでも、こんちは!と挨拶をしたり、店では「ありがとうございました」は、言ってくれないけど・・「いい一日をね!」Have a nice day!は言う人は、多くいる。
特に、西海岸の人間は、気取らず気さくでフレンドリー、細かいことにはこだわらない脳天気・・って、傾向がある。

もちろん、中には、ぶっきらぼうなヤツ、カンジ悪いヤツ、人種差別するヤツ、など、それは、どこの国でも同様、人さまざまだろう。
だけど、一般的には、フレンドリーで話好きな事は確かだ。
そして、はっきりと感情を表に表す。嬉しい顔、感謝してる顔、怒った顔、まるで、日本人から見れば、オーバーアクションに見えるほどに、はっきりと表す。

そういった気質をどう受け止めるか?
やっぱ馴染めない・・知らない人に話しかけられたくないし、いい加減なのは許せない、最高のサービスを受けたいと思うならば、やはり、高級店に行くことだ。
ホテルも同様、最高級の5つ星ホテルに宿泊し、高級スーパーマーケットで買い物をすることなのだ。

しかしながら、高級の場所に行けば、それなりに、紳士・淑女としての振る舞いが要求されることもお忘れなく。
お客側も、高級店にふさわしく振舞わなければならない・・というマナーが要求されてしまうのだ。
サンダル履きで、ファーストフードを持ち込みながら宿泊しようとしたり、団体で大声で騒いだり、レディーファーストも出来ないような客は、従業員にバカにされることになるし、それなりのサービスも受けられないことになる。

また、当然、多くのチップを支払う必要もある。一流のサービスには、それに見合ったチップを支払うというのが、ルールなのだ。そもそも、紳士・淑女たる方々は、チップをケチるような人はいないはずだからね。(^^);
基本的に、「お客様は神様」と言う日本的な考え方は、欧米諸国には通じないと思った方が間違いない。
それは、ハイソサエティーの場でも、庶民レベルの場でも、同じこと。 「それなりのサービスを受けたいなら、オマエがそれなりの振る舞いをしろ!」って言われてるような気さえしてくる。(^o^)

まあ、そんなわけで、気取ったことが嫌い(または、出来ない!)多くの庶民クラスのアメリカ人は、チップ不要のモーテルに泊まり、ダイナーやカフェあたりで食事をする。そして、たまに、ファミレスクラスのレストランで食事をする程度なのだ。
そこで、ウェイトレスの態度が悪ければ、その場でクレームするし、料金も自分で計算し、間違ってれば、即座にクレームする。そう、すべてが自己責任であり、思ったことはその場で、はっきり言う。

アメリカにおいて、会話をすることは、とても大事なことだ。 黙っていては、得することは何もない。*(^^)*
ホテルで、「明日は、妻の誕生日なんだ。なんとか、海に面したいい部屋が取れないかなあ〜。」なーんて言って、先に、チップをたんまり渡したら、倍以上する部屋を通常料金で手配してくれちゃったり・・なーんて事も起こる。

レストランも同様、「今日は、大事な取引先のお客様と一緒なのよ。なんとか、ビジネスを成功させるために、いい席を取ってくれないかなあ〜。突然で、悪いんだけどさ〜」とでも、交渉すれば、「そりゃ、大変だ! 僕がなんとかしましょう。」・・って、事もありえる。
もちろん、その後は、大目のチップを渡すことを忘れちゃいけないのだが。
つまり、心意気しだいで、なんとでもなってしまうのが、アメリカともいえる。

日本では、規定外のことは、ほとんどありえないのに比べて、アメリカは実に多様性に富んでいる。
おそらく、会社のマニュアルどおりに働く日本と、従業員の個人個人の裁量に、ある程度任せてしまうアメリカの、お国柄の違いってことなんだろう。

しかし、それには「英語がそれだけ堪能じゃなきゃダメじゃないか!」と、心配される方もいるかもしれない。 たしかに・・まあ、できるに越したことはないが、しかし、そうとも言い切れないのだ。
英語の苦手な外国人が、初めてアメリカに来てる。なんとか、一生懸命伝えようとしている・・・ってのは、逆に武器になることもある。(^^)
とにかく、コミュニケーションは、堪能な言葉だけじゃない。笑顔やしぐさや、ひたむきさ、真摯な思いや感謝の気持ちは、言葉以上に最大の武器となる。

そして、もしも、特別に配慮してもらったら、やはり、特別にチップを渡すことも忘れてはいけない。
アメリカにおいて、サービスはタダではない。日本の場合、サービス=タダと考えられることが多い。 しかし、アメリカのビジネスにおいて、タダのものは何ひとつ無い。 よき配慮やサービスを施した個人には、それに見合った額を個人で支払う・・それがチップというわけだ。チップは能力給と言えるかもしれない。とにかく、実に合理的。

さて、ここで、旅行者には、2つの選択肢がありそうだ。
庶民クラスの場所に行くか、ハイソサエティーの場所に行くか。または、両方を味わうのも面白いだろう。

しかし、ここで気をつけることは・・・これは、よく日本人にありがちな間違えなのだが・・・一泊300ドル以上もする高級ホテルに宿泊するのと、並ホテルに泊まるのも、同じ感覚で出かけてはいけないって事だ。
ハイソサエティーな場所では、服装、言葉使い、立ち居振る舞い、すべてをそのレベルに合わせなければ、受け入れてもらえない。それは、レストランや店にしても同様。
もちろん、チップの額もそうだ。「ガイドブックには、チップが15パーセントって書いてあったから。」「ポーターへは、1ドル」って書いてあったから・・ってのは、タブー。
それは、並ホテルの一般的な料金であって、そもそも、ガイドブックに書いてあったから、それでいい!と信じてしまうこと自体が、マニュアル化してる、日本人の悲しい悲しい性ともいうべきか・・(--);

すべては臨機応変。周囲を見回し、一流どころならば、並チップの2倍〜3倍は払う必要がある。そして、滞在中は、知性、マナーを熟知した教養人として振舞はなければならない。

それも、また、楽しいかもしれない。
たった1泊でも、ハイソサエティーとして振る舞うってのも面白いだろうし、また、そんなの面倒くせえ〜と思うならば、安ホテルに宿泊し、食事はダイナーでがっつり食べる、そんな庶民派生活を楽しむもよし。

ふと、古い映画、「プリティーウーマン」を思い出す。あれには、両方のアメリカが描かれていたからね。
とにかく、日本の常識を持って歩いても、楽しめないし、何も新たに、吸収できない。

郷に入ったら業に従えの言葉どおり、まずは、その土地に敬意を表す意味でも、従ってみることだろう。
その中から、必ず、見えてくるものがあるだろう。国際人になるというのは、そういう事なんだろうと思う。
まずは、日本で培った、自分の従来の常識や先入観などを、一度クリアーにしてしまうこと。
そして、他国の常識を知り、理解すること。そうすると、きっと新たな、自分自身のスタンスが見えてくるんじゃなかろうか。
それこそが、海外へ行く醍醐味でもあり、面白さって気がするのだ。


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